27年間モラトリアムとして避けてきた、米国の太平洋、大西洋、北極海(アラスカ近辺)の海岸線の油田開発が許可されれば、いうまでもなく、米国の海洋自然は破壊されていきます。ただし、「花より団子」ではありませんが、この開発を許可すれば、沿岸沿いの州はインセンティブによって、収入が得られるので、応じる州は結構でてくると思われます。カリフォルニアは、州レベルで反対する側に回ると思いますが、もし隣のオレゴン州がこれを許可してしまえば、太平洋岸の海洋自然の破壊は始まってしまいます。これは、「かなり深刻な問題」です。
今の米国民の大きな生活の圧迫は、ガソリンの高騰とそれに伴う物価上昇です。物価の上昇はガソリンに比べればまだ緩やかですが、ガソリンは全米平均が1ガロン4ドルを突破して、5ドルに達するのも時間の問題という感じです。企業は、シャトルバスの本数を増やしたり、テレコミュート(在宅勤務)を薦めたり、また自転車活用で乗り継ぎをしながらクルマを使わずに通勤にしたりと、さまざまな努力でガソリン消費を避けるべく、工夫しています。
こんな状況下で、クルマ通勤者の中には、自分たちの運転技術で、燃費を極限まで抑えようとする「Hypermilers(ハイパーマイラーズ)」も出てきています。Wired.comによれば、彼らは長距離を、40mpg、50mpg、60mpg(1ガロンあたりの走行距離)で走らせることが可能で、燃費を20~30%も向上させているというから驚きです。一種のゲームとして、どこまで燃費を抑えるかを競う、彼らのお薦めのテクニックは以下のようなものです。
- 制限速度以下で走る(燃費は、60mphを超えると急速に落ちるので、制限速度以上で走ると5mphごとに、1ガロンにつき20セント余分に支払う計算となる)
- アクセルとブレーキをできる限り使わずに惰性を利用し、惰性で停車できるようにする。コーナーではなるべくブレーキを使わずトラックのような大きなクルマの後ろに回る。
Cleanmpg.comの創設者で、「The King of Hypermilers(ハイパーマイラーズの王)」と呼ばれるWayne Gerdesは、ホンダのシビックのハイブリッドで、シカゴからニューヨークの800マイルを給油なしのシングルタンクで走りきり、65 mpgの記録を作ったそうです。
4年以内に1ガロン7ドルに達すると予測するアナリストもいます。新車購入をするならば、ハイブリッドというのも一理ありますが、その前に個人の努力で少しでも燃費を抑えるということも非常に重要です。我が家は自動車の使用を極力控えており、レクリーエーションと健康のために「自転車」を大いに利用しています。もちろん米国のほかの地域では、ここベイエイリアのように公共の交通機関もなく、自動車以外に移動の手段がない場合が多く、ガソリン高騰は死活問題です。「Hypermiler(ハイパーマイラー)」という意識を持って、少しでもガソリンを使わない工夫をするのも、生活の知恵なのかもしれません。