I will pay higher taxes to invest in my country
Wealth for the Common Good(WFCG)と称する経営者や富裕層を主体とする団体は、「年収23万5000ドル(2350万円)以上の人たちの税率を、2011年まで待たずに、今すぐ35%から39.6%に引き上げる運動」を、開始しました。
ブッシュ政権による税金の削減は、2001年から始まりましたが、過去8年間、この税金削減によって大きな利益を得た富裕層は、今こそ米国にその利益を還元して、米国経済を安定させるように投資すべきであると主張しています。これによって、推定、年間430億ドル(4兆3000億円)の税収が得られ、税率の引き上げによって影響があるのは、納税者の2.5%と非常に少ない数の人たちで、失業するリスクが薄い人たちでもあると言っています。また、WFCGによれば、これによって富裕層のライフスタイル自体に大きな変化があるとも思えず、今すぐ、議会に通すためにオンラインで署名を集めています。オバマ政権は、2011年に年収25万ドル(2500万円)以上の人たちの税率を引き上げることを公約していますが、WFCGは、そこまで待てないと主張し、ブッシュ政権時代の「税金削減という贅沢なライフスタイル」を、米国政府は維持することは出来ないと言っています。
確かにこのまま米国経済が浮上しないと、富裕層は逆にかなりの痛手を受けます。また、富裕な財産を持つ人は、ある意味で価値のある投資を継続していかなければ、その富を拡大することはできません。そういう観点から考えると、この米国に投資するために、税率を今すぐ引き上げるというアイディアは、彼らにとってある意味で非常に重要な意味を持ちます。
米国では中々このWFCGのような思考回路を持つ人が少なく、オバマ大統領が選挙キャンペーン中に、ローインカム、ミドルクラスを助けるために、富裕層がある程度税金をカバーしなければならないと示唆した途端に、「富の再配分をする社会主義者」というレッテルを貼られたくらいです。よく「トップ3%の富裕層が米国の60%の税金を負担している」というクレームを聞きますが、実際は「トップ5%の富裕層が38.5%の米国の税金を負担」しており、これは米国の年間取得の配分とほぼ等しい比率です。
確かに、誰でも無駄な税金は多く払いたくないし、官僚的で動脈硬化を起こしているような政府のために払うのは納得できません。ただし、長期的な展望と戦略のもとに、米国が健全な姿で競争力を増すための投資として、税金を払うならば、納得できます。しかし、オバマ政権は前任者からとんでもない負の遺産をたくさん受け継いでいる、これをいつも実感します。