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ひさみをめぐる冒険
サンフランシスコ・シリコンバレー在住マーケターのINSIGHT(洞察)



Obama Mania(オバママニア)が熱狂した勝利のスピーチ

1/4/2008

 
民主党、共和党、インディペンデントなど政治的な違いや人種的な違いをのり超えて、アメリカ人として一致して、夢の実現を図ろうと訴える彼に、キング牧師やロバート・ケネディ上院議員のイメージが重なるという政治評論家もいます。今回の彼の勝利は、グラスルーツのボランティアの情熱が巻き起こした結果であると実感します。若い人や無党派層が、本当に現在の米国の政治状況に嫌気が差しているのは事実で、それを変える可能性があるのは、「ワシントンらしくないオバマ」だと信じて、具体的に行動を起したと思います。

黒人の政治評論家は、「今まで南部の黒人投票者は、本当に白人がオバマに投票するのかと疑っていたが、アイオワの投票結果はそれを確かに証明した。クリントン支持の黒人投票者はオバマに動く」と、新たな視点で、オバマのアイオワの勝利を分析しています。私は、先月TV番組で、南部の片田舎の50代、60代の黒人美容師とその黒人客が語る、大統領候補者に関するコメントを聞いて、かなり驚きました。彼女たちは、「オバマは良い人だと思う。彼が大統領候補者に選ばれると、それを良く思わない連中に殺される可能性がある(キング牧師やロバート・ケネディの暗殺を指しています)。私は彼みたいなGood manがそんな目にあうのを見たくない」と言って、哀しげに首を振っていました。彼女たちの頭の中には、ジムクロウ(人種隔離政策)やクー・クラックス・クラン(白人至上主義者グループ、今でも存在します)が今でも鮮明に刻印されており、その恐れをはっきり口にしていました。黒人運動の指導者たちは、オバマの「黒人性(Blackness)」について、彼の境遇(父親がケニア人で母親が白人でハワイで育った。南部の黒人のように奴隷を祖先と持ち、歴史的な迫害や差別を受けていない)には、それが欠けるので、彼を支持しないという議論が昨年はありました。でも、こういった人種的な論議をとっくに飛び越えて、オバマは米国の未来を語り合いたい人たちの情熱に火をつけたようです。

米国の大統領選挙は長いマラソンレースのようなもので、やっと最初の1年間が終わり、各党の候補者の絞り込みが始まりました。すでに民主党はJoe BidenとChris Doddがレースからおりました。オバマ、エドワーズ、クリントンの3者のマッチレースは、来週火曜日のニューハンプシャーに移ります。ここでクリントンがどこまで巻き返せるかがポイントで、ここもオバマが制するとなると、彼女の今後はかなり苦しくなることが予想されます。彼女はあまりにも既存政治色が強く、Fresh Airを求める今の投票者の気持ちを考えると、難しいというのが私の感触です。

共和党は、混戦状態が続くと思います。Huckabeeは、Evangelical Christiansの支持を獲得して、アイオワで勝ちましたが、インディペンデントが多いニューハンプシャーでは苦戦を予想されており、RomneyとMcCainがどこまで支持を取り付けられるかが鍵だと思います。

今朝もオバマの勝利に関して、YouTubeでどんなヴィデオが上がって、どんな論議が交わされているかとのぞいていました。今の米国では、YouTubeに代表されるヴィデオコミュニティ、MySpaceやFacebookに代表されるソーシャルネットワークサイト(SNS)は、フリーのメディアとして機能しており、誰でも自己の主張や意見をヴィデオというカタチで投稿できるので、コミュニティの議論が見えます。オバマ支持者のヴィデオ投稿に中には、若い人に限らず、80代の元政治家で企業のCEOだった人もいかにオバマを支持するかのメッセージを投稿しており、オバマ支持者は、年齢・性別・人種を超えていることを、そんなメッセージからも実感しています。オバママニアの私は、彼と彼を支えるマニアたちが、このMomentum(勢い)を活かして、ニューハンプシャーで勝利するよう、願っています。

アメリカ人が、今、政治および政治家に望んでいることは、重苦しい米国社会の厭世的な気分を払拭してくれる「Fresh Air(新鮮な空気)」を呼び込むチカラです。昨日のアイオワでの民主党・共和党のCaucusで、民主党はBarack Obama(バラック・オバマ)、共和党はMike Huckabee(マイク・ハッカビー)を選びましたが、これはそうした国民の気分を反映しています。

  • 民主党:Obama38%, Edwards30%, Clinton29%
  • 共和党:Huckabee34% , Romney25%, Thompson13%, McCain13%


我が家は夫と私が政治的には異なる考え方を持つので、大統領選の話を家庭内ではあまりしませんが、Caucusの前夜の1/2、食事の後にそれを始めてしまい、かなり感情的になる一幕もあり、政治の話題を家庭に持ち込むのは危険だとつくづく実感しました(特に英語で彼とこの手の議論をするのは、私にとってしんどく、フラストレーションがたまり、よくありません)。

Iowa(アイオワ)を数字で見ると:

  • 人口:298万2000人
  • 住民:中間年齢37.8歳、65歳以上14.7%、85歳以上2.3%
  • 人種別:94.9%が白人、3.7%ヒスパニック、2.3%が黒人、1.4%がアジア系(マルチ回答有り)
  • 政党支持:民主党支持者31.4%(60万人)、共和党支持者30.1%(57万5000人)、政党の支持表明をしていない人38.5%(73万7000人)
この小さな州が、全米の大統領候補選挙のスタート地点で、おのおの候補者にとってここでの投票結果が今後の選挙戦で重要な意味を持ちます。

今回は、普段Caucusに行かない新たな投票者を呼び込み、以下の数字が示すように、大きく両党の投票数を上昇させましたが、民主党がインディペンデント(無党派)を自党に呼び込み大きく投票者数を伸ばしたことは11月の本選挙に大きな意味をもたらします。

  • 民主党:2008年22万588人<---- 2004年12万4000人
  • 共和党:2008年11万4000人<---- 2000年8万7666人

今回の民主党の投票者の5人のうち1人は30歳以下で、投票者の57%が初めてCaucusに参加するという新しいウェイブが起きています。こうした民主党の10万人の新たな投票者たちは、今年は自らが大統領を選ぶという情熱に支えられて、投票所に駆けつけています。

オバマ支持に回った多くの人たちは、この新たな投票者です。オバマに投票した人の47%は初めてCaucusで投票する人(クリントンは29%)で、57%は30歳以下の若い層(クリントンは10%が30歳以下)は、さらにクリントンを上回る女性層(オバマの投票者のうち女性は38%、クリントンは30%)、こうしたオバマ支持者の構成にはインディペンデントの支持が大きく作用しています。また、共和党支持者がオバマに投票するために民主党に転向するというストーリーも多く報道され、オバマ支持者の動向は今後の選挙戦を大きく左右する可能性を見せつけています。彼の昨晩の勝利のスピーチは、彼を最初にナショナルレベルの認知をもたらしたあの有名な2004年の民主党大会の演説以上に、Inspirationalなもので、日頃は辛口のアナリストもこのスピーチを賞賛しています。彼は、「You」、「Hope」、「United」というキーワードを使って、熱狂する支持者の前で、一年前は誰も自分がアイオワで勝つとは信じなかったことを指摘し、歴史的なスタートが今、ここで始まると告げました。


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    大柴ひさみ

    日米両国でビジネス・マーケティング活動を、マーケターとして、消費­者として実践してきた大柴ひさみが語る「リアルな米国ビジネス&マーケティングのInsight」

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