ひさみをめぐる冒険
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ひさみをめぐる冒険
サンフランシスコ・シリコンバレー在住マーケターのINSIGHT(洞察)



Paul Newman(ポールニューマン)とCause(社会貢献)の関係

6/9/2008

 
私は、高校時代かなり映画に狂っており、飯田橋にあった名作上映の映画館「佳作座」で、確か300円か500円だったと思いますが、1日に3本ぐらい飽きることなく、1人で映画を見ていました。

その当時は、ハリウッドがニューシネマと称する新しいコンセプトの映画を送り出した頃で、私は、映画雑誌「ロードショー」や「スクリーン」を古本屋で買いあさり、佳作座ですでに名作となっていた「明日に向かって撃て(Butch Cassidy and the Sundance Kid:1969年)」を鑑賞したのを記憶しています。私はこの映画に主演したPaul Newman(ポール・ニューマン)の笑顔が大好きで、心底人間を愛しているような暖かさを感じて、その後も彼の数多くの作品をみながら、ひそかなファンとして応援しています。

今日そんな彼が、肺がんでかなりの重態であることを知って、ちょっとショックを受けています。彼は、1925年1月26日生まれで(私の亡くなった父親と同じ年同じ月に生まれています)83歳です。私が言うまでもなく、彼はアカデミー主演男優賞獲得をはじめ、さまざまな映画出演を通して、すでにレジェントとして高い評価を受けている俳優兼監督です。彼は映画以外にプロのレーシングドライバーとしても著名です。1977年にデイトナ24時間レースで5位、1979年にルマン24時間レースで2位、さらに最近では1995年にデイトナ24時間レースで彼のチームが優勝して、70歳のドライバーとして最年長記録を作りました。

また彼は「Progressive Activist(進歩的な活動家)」として、公民権運動や反戦活動を行い、ニクソン政権の1973年のブラックリストに載るほどの政治活動を行っています。そんな彼の最も評価すべき活動は、「Cause(コーズ:社会貢献事業)」です。

  • 1978年麻薬撲滅のために「Scott Newman Foundation」創設:飲酒とドラッグで亡くなった息子のために、麻薬撲滅ためにその弊害を描いたフィルムやTV番組への資金提供を行っています
  • 1982年サラダドレッシング会社「Newman's Own」を創設: 創立以来のすべての利益、2億2200万ドル(233億1000万円、1ドル=105円)をチャリティに寄付しています。
  • 1988年「Hole in the Wall Gang Camp」という世界最大の家族キャンプ場創設:ガンなどの生死をかかわる重病の子供たちが家族と一緒に楽しいキャンプ経験が出来るようにとつくられ、米国内に5ヶ所、アイルランド、英国、フランスにおのおの1ヶ所ずつあり、今後さらに増やす予定
  • 1999年Kosovoの難民キャンプに25万ドル(2625万円)寄付
  • 2007年ニューマンの母校のKenyon Collegeの奨学金に1000万ドル(10億5000万円)寄付:学費が払えないマイノリティの学生への奨学金

彼が、いかに真剣に「Cause」に取り組んでいるのは、こうした活動を見れば、明らかです。私はマーケッターとして、企業が「Cause Marketing(社会貢献型マーケティング)」をすることは、決して否定しません。むしろ、意味のないことにお金を使うよりは、「意味のあること」にお金を使って、社会貢献してくれることは、消費者の視点からしても結構なことだと思います。ただ、問題は、その「Cause(社会貢献)」が、
  • どこまでその企業の寄って立つところに深く関与しているか?
  • またそれは、長期的に継続出来るマーケティング活動なのか?
  • またそれは、誰からも具体的に見える透明性をもって、消費者をきちんと説得できるかどうか?

こうしたポイントをクリア出来ない場合は、消費者から見ると、それは「マーケティング・ギミック」となってしまいます。ポール・ニューマンの生き方を考えながら、ついつい企業とCauseの関係を考えて、本当に長期的で全社的なコミットメントをしないと、ギミックになりやすいなと、実感しています。
ポールは随分前から肺がんと闘っているようですが、なるべくパブリックの注目を受けることを避けているようです。できれば、肺がんを克服して、また元気に復帰してくれることを望んでいます。
PS: 私の彼のお気に入りの作品は、「Cool Hand Luke」で、何回も脱獄を繰り返す囚人ルークがゆで卵を50個食べるシーンが最高です。

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    大柴ひさみ

    日米両国でビジネス・マーケティング活動を、マーケターとして、消費­者として実践してきた大柴ひさみが語る「リアルな米国ビジネス&マーケティングのInsight」

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