米国経済は良く悪くも個人消費におよそ70%と大きく依存しています。これはたぶん米国経済と深く関わるグローバル市場にも大きく影響する要因です。過去半年間、米国の個人の消費行動で、最も大きく変化したことは、「個人の負債額」が減ったという点です。Federal Reserve(連邦準備制度理事会)の発表によれば、米国の6月の個人負債額は、130億ドル(5月は54億ドル減っています)も減って、2兆5000万ドル(1ドル=100円で計算すると、250兆円)となり、5ヶ月連続で負債が減少しています。これは、米国人が「自宅の価格が毎年大幅に上昇すると信じて、リファイナンスで得たキャッシュやクレジットカードからの借入金を安易に活用して、イケイケドンドンで、消費生活をエンジョイしていたマインドセット」が、大きくシフトしたことを意味します。つまり、自分たちにはそんな贅沢な消費生活を維持するためのお金がないということに気がついたということです。
当たり前といえば、当たり前の話で、いつまでも中国が米国に無尽蔵にお金を貸してくれるわけがなく、そんなファンタジーを信じてはいけないと自覚したアメリカ人は、財布の紐をうーんと引きしてめているのが、今の現状です。ただ、そうは言いながらも、ポジティブな思考で、モノゴトを良い方向に考えるアメリカ人は、「先に光が見えてきた」、そんなことを実感していると思います。
昨日は、議会で68対31の投票で、Sonia Sotomayor(ソニア・ソトマイヤー)が、最初のラテン系女性最高裁判事として承認され、火曜日はBill Clinton(ビル・クリントン)元大統領は、2人の女性ジャーナリストを北朝鮮から救出したし、ヘルスケアのリフォームという大きな問題は残っていますが、とにかく米国の夏に、ちょっと笑顔が戻ってきたのは事実です。
私は、4ヶ月間も放置されていた2008年分の自分のIRA(Individual Retirement Account)のコントリビューションのキャッシュを、やっと動かす気持ちになって、ある企業の株式を購入しました。IRAは、自分の老後資産のための非課税なアカウントで、なるべく経済の変動に左右されにくい安定したポートフォリオにすべきものです。昨年9月の金融危機以来、価値の落ち込みは酷く、IRAのパフォーマンスを見ること自体をやめていた私は、完全にフリーズド状態でした。私は経済評論家でもなく、株式投資の専門家でもないので、株式やミューチュアル・ファンドの動きを見ながら、何が今最も自分のIRAのポートフォリオに必要かを考えるのが、面倒くさいと思ってしまいますが、そんな私でも、最近の米国の経済動向には光が見えてきたことを感じて、お金を動かしました。実感したのは、以下のようなことが目についたからです。
- 個人住宅売買のマルチプルリストのサイトからのeメールの数が増えて、さらに価格帯がリーズナブルになりつつある(一時は馬鹿げたほど低い価格が登場して、暗黒の住宅市場でした)。
- 週末の個人住宅「Open House」のサインが近所に増え始めて、個人住宅市場が動き出したのが具体的に見えてきた。
- 7月の失業率は9.4%で、6月の9.5%から0.1ポイント下がった。失業率が下がったのは15ヶ月ぶり。7月の失業者数は24万7000人で、6月が44万3000人だったことを考えると、人員解雇の底は売った感じ。ただし、現在1450万人は失業中で、失業率が二桁の上昇するる可能性は十分あります。オバマ大統領もこの数字を基に、米国経済の回復を説明しています。