Eliot Spitzer は、ニューヨークのAttorney General(検察官)として、ホワイトカラークライム(企業・ビジネス犯罪)を徹底的に一掃すべく大鉈を振るってきた強面で、野心満々の人です。月曜日に発覚したこのスキャンダルは、彼が長年にわたって1時間1000~5500ドル(11万~60万5000円)をチャージするワシントンの高級エスコートガールクラブ「Emperors Club(エンペラークラブ)」のお客として、推定合計8万ドル(880万円)の金額を支払って利用していたということです。月曜日に、彼はハーバードロースクールを卒業してウォールストリートの弁護士として、かつてEliot よりも高額な報酬を得ていた妻のSilda Wall Spitzerを伴って、記者会見会場に姿を現し、パブリックに謝罪しました。
こうした2人の姿を見ると、最近非常に顕著になっている政治家のセックススキャンダルの謝罪会見に必ず寄り添う「夫を支える妻」という絵柄です。これは、なんともやり切れいない気分になります。これは、1992年のビル・クリントン元大統領の最初の浮気、さらに1998年のモニカ・ルインスキーとの浮気によって起きた「Impeachment(弾劾罷免)」の時に、妻であるヒラリー・クリントンが、夫のそばに寄り添って、彼を弁護して以来、政治家の妻たちの定番という感じになってきています。以下は、最近目についた政治家のセックススキャンダルの謝罪会見で寄り添った妻たちです。
- Suzanne Craig: アイダホの上院議員Larry Craigは、空港内男性トイレでホモセクシュアルな誘いをおこなったとして逮捕される。
- Wendy Vitter: アラバマの上院議員David Vitterが、ワシントンのエスコートクラブの顧客リストにあることが発覚。妻は、以前もし夫が浮気をしたら、彼のそばに寄り添って弁護などはせずに、彼の元を立ち去ると発言していたが、実際には寄り添う結果となり大きな話題を招いた。
- Dina McGreevey: 前ニュージャージ州知事のJames McGreeveyは、自分がゲイであることと浮気を認めた。
こうした「Stand by your man」という態度を取る政治家の妻たちに対して、メディアやパブリックは必ずしも同情的ではなく、むしろ妻を伴わないと謝罪も出来ないのかという見方もあり、政治的に妻を利用する政治家への非難も見られます。私は、彼女たちはこの謝罪会見に立ち会う必要はないと思いますし、個人的には、彼女たちの苦しげな顔を見ると、非常に憂鬱な思いにとらわれます。まあ、みんな子供たちのため、夫の政治生命のためと、さまざまな家庭の事情で、そばに立っているのは理解できますが、あまりにもこの手の話が多いので、最近は食傷気味です。
Spitzer の後任は、副知事のDavid Patersonが昇格しますが、彼は、ニューヨーク州初のアフリカ系アメリカ人の知事となり、さらに米国で初めて法的な盲目(片目は全盲)の知事ということになります。彼の任期は2010年末までですが、今までニューヨーク以外ではほとんど無名に近いこの新しい知事は、強面のSpitzerとは異なり、非常に穏やかでみんなの意見を聞いて、まとめて行くタイプということで、中々興味深い人物のようです。
ヒラリー・クリントンは、「ドリームチケット」として、自分が大統領候補になったら、バラク・オバマを副大統領候補にする可能性があると匂わせましたが、オバマは大統領候補として立候補しており、現時点で代議員数も一般投票数もリードしている自分が何で副大統領にならなければならないんだと、あっさり否定しています。
この副大統領といったポストは、よく考えると非常に重要な意味を持ちます。政治家は何が起きるかわかりません。暗殺、スキャンダル、病気など、さまざまな要因で副大統領が、大統領になる可能性は十分あります。ブッシュ&チェイニーのように、正副大統領のコンビは、確かに重要な意味を持ちます。副大統領を誰に選ぶかは、大統領候補によっては、危機的な課題であり、この目利きは非常に重要です。