1960年代のケネディ大統領とケネディ司法長官の暗殺事件に、当時司法長官幹部補佐だったJohn Seigenthaler Sr.(現在は78歳のジャーナリスト)が、兄弟の暗殺に関与した容疑がかけられていたという、ウキペディアの記述を虚偽とする記事を、「USA Today」に発表したのがきっかけです。
Jimmy Walesが、 2001年に始めたウィキペディアは、ハワイの表現「wiki wiki(クイック)」と、「Encyclopedia(百科事典)」を組み合わせた言葉で、まさにインターネットの可能性と人間の性善説を信じる、現在 注目されているCGM(Consumer Generated Media:消費者によって創造されるメディアやコンテント)」の元祖のようなサイトです。レファレンスサイトとしては、「Dictionary.com」 についで、第2位のウィキペディアは、月間ページビュー25億、82の言語、英語版だけで84万件以上の記事が掲載されており、誰でも書き込めるオープン ソース型コンテントなので、ボランティア執筆者によって、膨大な情報が生物のように増殖し拡大しています。運営費は年間200万ドルで、給与を得て雇用さ れているのは3人だけで、FounderのWalesもボランティアワークで、この財団サイトを運営しています。
Traditionalな考え方で言えば、このウィキペデイアは、「誰からも保障されていない、見識の定かでない素人の情報のアウトプットの集合体」で、 これを信頼することはできない、という論理になります。また、事実の捏造や虚偽の事実の掲載があったとしたら、それは即座に解決していく、あるいはそれが 起こりえないような自浄作用をうまくコミュニティ内で構築するといった、重要な課題は山積みです。
また、利用者側から考えると、ブログや掲示板など、オンライン上で増大CGMと同様に、ここでのポイントは、
「ウィキペディア利用者の情報への目利き度」にあると、私は思います。
百科事典に限らず、権威あると称するメディアの報道にも、時代背景や国益あるいはその企業の利益やアドバンテージに基づく見方が、その情報に無意識下に刷 り込まれており、「事実や真実」の見え方は、情報の出し方で変わってきます。また、歴史的事実は、時間の経緯や執筆者の立場によって、まるっきり異なった 真実として表現されることは、自明の理です。
そう考えると、自分自身の「情報への目利き度」を高めて、常に複数あるいは多数の情報源に接して、情報の比較分析を、研磨するしかないと思います。特に、 フリーの情報源に対するDu Diligenceは、自己責任できちんと実行し、それによって不利益や不便をこうむった場合は、自分のリスクマネジメントが足りなかったと反省するしか ない、そんなことを感じています。
「ただほど、高いものはない」とは、よく親に言われましたが、これもまた真実の声として、真摯に受け止めたいと思います。