「Vatican Communications HD」というタイトルのヴィデオは、ヴァチカンのコミュニケーションの歴史を語っていますが、新しいテクノロジーの活用によって、人間社会が大きな恩恵を受けることを示唆して、デジタル世代にヴァチカンがリーチアウトすることを目指しています。法王は、「World Day of Communications(世界コミュニケーションの日)」で、FacebookやMy Spaceのようなソーシャルネットワーキングサイトがもたらす理解や友人関係というベネフィットは、「人間に与えられたギフト」だと賞賛しています。ただし、彼は、ニューメディアのプロデューサーは、コンテンツは人間の尊厳を称えるべきものであって、暴力やセックスを奨励するようなものであってはいけないと、警告しています。また、法王は、オンラインでのソーシャルネットワーキングに熱中するあまり、現実世界での対人関係に反応できず分断されることを憂慮し、さらにデジタルワールドにアクセスできない人たちとの間に「デジタルデバイド」をもたらすことを心配しています。
こうした発言を耳にすると、81歳の法王のニューメディアに関する理解やナレッジは相当なもので、実際にそれがもたらす社会的な影響やインパクトを正しく把握していることに、驚きました。ヴァチカンにソーシャルコミュニケーションオフィスのトップであるMonsignor Claudio Maria Celliは、法王のことを「a man of dialogue(ダイアローグの人)」と呼び、法王は例えどんな場所にいようとも世界中の人たちと「エンゲージしたい」と思っていると話しています。ヴァチカンは1995年12月25日クリスマスの日に、ウエブサイトをオープンしていますが、テクノロジーを活用して、「人々とエンゲージしようとする」努力は、このYouTubeのヴィデオチャネル開設につながりました。課題は、どこまで活発なコミュニケーションがこのヴィデオチャネルでできるかどうかで、ヴィデオのアップデイトはキーとなります。
オバマ大統領のYouTubeの活用は、過去2年間の選挙キャンペーンにおいて、非常に大きな役目を果たしました。1月20日の就任式直後、すぐに立ち上がったホワイトハウスのヴィデオチャネルは、新たなホワイトハウスのインタラクティブなウエブサイトと呼応して、移行期間からオンラインでサポーターたちと「会話」してきたオバマ大統領の面目躍如という感じです。
昨日は、以前からオバマ大統領が「ホワイトハウス以外の人々と直接コミュニケーションするために、BlackBerry(ブラックベリー)は必要」と主張してきたことが、周囲に受け入れられて、大統領はスマートフォンを持つことが可能となりました。セキュリティの問題とと大統領として発言公開の義務があるために、事件が起きた際に議会から弾劾訴追を受ける可能性もあるほど、ある意味で危険な選択です。オバマ大統領は、キャンペーン期間中から「政府の情報の透明性」を主張してきましたが、自分は何を聞かれても見られても大丈夫だという自信があるので、この選択に踏み切ったと思います。歴代の大統領で、eメールを駆使して、モバイルデバイスを保持するのは、彼が初めてです。もちろんこの究極のスマートフォン「Obamaberry(オバマベリー)」のセキュリティは強化され、大統領のメールアドレスにアクセス出来る人は非常に限定されます。しかし、多くの人たちの反対を押しきって、こうしたリスクテイキングをする、これも彼が直接コミュニケーションしたいという強い欲求と「Yes We Can!」という言葉の実践の一つなのかもしれません。