やっと諸々の原稿の締め切りから開放されました。こんなに書くことに追われた年末は初めてですが、何とかこれで、年を越せそうです。 日経BPnetのNet Marketingからは、「2006年の話題のトピックス」3つと、「2007年のキーワード」を3つを書いてくださいと頼まれましたので、これはすでに入稿して、アップロードされています。詳細はサイトで読んで下さい。また、先週入稿した私のNet Marketingのコラムのテーマは、「企業ブログ」です。このコラムを書くために、私はいろんな企業ブログを読みましたが、同じ会社なのに、本当におのおの個性的な書き方と視点があり、私が昔お習字を習っていた時に、先生から「書は人なり」と教わりましたが、まさに「ブログは人なり」を、このコラムの執筆中に実感しました。 また12月の2週目と3週目は、日経新聞から日経産業の米国取材の協力依頼があり、渡米された記者の方とお会いして、取材協力をしました。テーマは「Biz Style 2.0」で、年明け掲載されますが、マーケティング2.0、あるいはビジネス2.0ともいうべき、パラダイムシフトが進行中の米国における、ビジネス、テクノロジー、マーケティングなどに関して、記者の方といろんな角度からお話しをしました。とても誠実で聡明な記者の方で、紹介した米国企業のCEOは、「今までインタビューを受けたことは結構あるけれども、彼はその中で非常に的を得たスマートな質問で楽しかった」というコメントをもらい(英語もエクセレントだったということです)、私たちは紹介した甲斐があったと、大いに喜んでいます。これは掲載されたら、またブログします。 宣伝会議の原稿は、私がクリスマス前に書く時間がないことを説明して、なんと2週間も延ばしてもらいました。これは、年明けにねじり鉢巻で書きますが、この締め切り延長は、最高のクリスマスプレゼントでした。宣伝会議の編集者の方に、この場を借りて、お礼申し上げます。「ありがとうございました!」(彼女曰く、「大柴さんにはいつも早めに原稿をいただいているので、今回は延ばします」ということで、日頃の締め切り貯金がこの緊急のピンチの時に役立ちました。来年も早めに送れるように、がんばります) さてさて、今日のタイトル「ブログだ、ブログだ!!」ですが、これは、通常の依頼原稿と違って、自分の言葉で、自分の書きたいことを思い切って書けるブログのノリを表現しています。先ほどまで書いていた原稿がおのおのの編集意図の下で、規制の中で(文字数や内容)書かなければいけないものと大きく異なるので、まずは軽く、私の周囲のクリスマス風景をご紹介します。 これは、24日の夕方、やっと原稿を書き終えて、日本に送った後、夫と2人で夕陽を眺めに、自転車で我が家のある島Alamedaを走り回っていた時のショットです。夫が所属するヨットクラブClub Nautiqueのボートを写しましたが、昨年ここから私たちはハワイのマウイ島に向けて、15日間の太平洋半分横断のセーリングに出かけました。あれからたった一年半しか経っていませんが、あの太平洋をセーリングしていた日々が、信じられないくらい、遠い昔のような気がします。 これは、Alamedaのクリスマスのライティングデコレーションです。AlamedaのThompson Avenueは、その住民が全て各々工夫を凝らしたライトニング・デコレーションを毎年クリスマスシーズンにします。新らしくこのエリアに引っ越してきた人たちは、最初にこのクリスマスデコレーションに参加することを強制される(?)、ぐらい、みんな気合を入れて、フロントヤードや家全体を飾り付けています。島以外の見物客も後を絶たず、クルマもゆっくりとこの小さな道を走りながら見物しています。私たち夫婦のお気に入りは、トナカイがボートに乗って、その後ろでサンタが水上スキーをしてデコレーションと、オウムとパームツリーの並木道のもので、にぎやかで島っぽくて、良かったです(写真がうまく撮れておらず、よさが表現できていません、スイマセン)。 我が家にはこの手のライトニング・デコレーションはありませんが、すっかりパームツリーのにぎやかなネオンが気に入った私たちは、フロントヤードとドライブウエイを、ニューオリンズ風のパティオに改築したら、パームツリーのネオンを飾ろうと、気合を入れました。「宗教的な気分を度外視した、米国の年末のトラディション」、そんな気分で、デコレーションを楽しみました。 |
最近、またしてもブログレスな日々が続いています。書きたい材料は結構あるのですが、いつものようにオン・オフともども忙しく、ブログを書くための時間が作れません。また、ブログを 「www.hisami.com」のドメインの下に集約しましたので、これ以降はここでブログを更新していきます。
オン(JaM)の方では何が忙しいのか?
またこの間、義理の娘がフィアンセと一緒に、アリゾナに向かう前に家によって泊まり、友人を招いた週末のディナーなどもあって、締め切りに間に合わせるためのコラムも書く時間はありましたが、「ブログレス」な状態に陥ってしまいました。 昨日は、Tyco Internationalの元CEOで脱税と横領で8年半から最高25年の懲役を言い渡されて、現在服役中のDennis Kozlowski の妻、Karen Mayo Kozlowskiによる、離婚の申し立てが発表されました。
コーポレイトガバナンスが死語になったとと思われるぐらいに、1990年代後半から2000年初頭にかけて、多くのWhite Collar Crime(ホ ワイトカラークライム)が起きましたが、その中でも会社のお金でとてつもない贅沢な暮らしをしていたのが、このコズロウスキーです。彼は、妻のカレンの 40歳の誕生日に、地中海のサルディナ島で、200万ドル(2億3,200万円)の古代ギリシアのトーガをまとった大パーティをしたので有名です。この パーティの模様は、今でもオンラインヴィデオで見られます。 コズロウスキーは、元CFOのMark Swartzとともに、合計6億ドル(696億円)を横領しており、彼個人は1億67,00万ドル(193億7,200万円)の負債返済を抱えています。 彼は1,700万ドル(19億7,200万円)で購入したNYマンハッタンの高級コンドミニアムを、負債返済のためにすでに売却しています。彼の異常なお 金の使い方は、そのコンドミアムに使った以下の数字を見るとわかります。 コンドミニアム購入金額: 1,700万ドル(19億7,200万円) ・300万ドル(3億4,800万円)のアップグレード費用 ・1,100万ドル(1億2760万円)の家具およびインテリアデコレーション インテリアデコレーションの中で特筆すべきもの ・6,000ドル(69万6,000円)のメイドのバスルームのシャワーカーテン ・1万5,000ドル(174万円)の傘たて ・1万7,000ドル(197万2,000円)の旅行用のトイレットボックス ・5,960ドル(6,913円)のベッドシーツ(2セット) ・6,300ドル(7,308円)の裁縫バスケット この中でも、特に有名なのが、6,000ドルのシャワーカーテンです。我が家のシャワーカーテンは、20ドルにも満たない安ものですが、シンプルで機能的 で、4年ぐらい使っていますが、何ともありません。我が家のカーテンの300倍の価値のあるシャワーカーテンとは、どんなものか、興味はありますが、絶対 に買いたくありません。 このコズロウスキーは、Boca Ratonと いうフロリダのリゾート地にも会社から利子なしのローンで、3,000万ドル(34億8,000万円)の高級邸宅を所有しており、そこに住む妻のカレン は、自身の資産を守るために、離婚申請に踏み切ったようです。彼女は、離婚によってコズロウスキーの資産の半分と生活費の援助を獲得して、彼女の資産が負 債返済金に回らないようにするために、申請しています。 彼女は、1990年代に高級レストランでウエイトレスをしていた時代に、コズロウスキーと知り合い、お互いに離婚した2001年の5月に結婚しています。 コズロウスキーは、その後フロリダに、彼女ためにレストランを購入して、経営させています。彼との結婚によって、プライベートジェット機で、世界を駆け巡 るJett-Setterとなったカレンですが、皮肉なことに、彼と離婚することによって、その獲得した地位を守らなけれならない羽目に陥ったようです。 一般常識から考えたら、誰でも、自分の誕生日に、亭主が200万ドル(2億3,200万円)を使って、パーティを開くと言ったら、「あんた、アタマがおか しいんじゃないの?」、と言うはずです。しかも、コズロウスキーは、パーティに多くの会社のエグゼクティブが参加するから、これは会社が費用を出すと言っ たというのですから、開いた口はふさがりません。 20ドルのシャワーカーテンしか知らない私ですが、その満足度は、多分6,000ドルにひけをとらないと思います。この2人のストーリーを聞くと、お金の意味は、本当に人によって、全然違う価値をもつんだなと、実感します。 今、シリコンバレーは、ストックオプションのバックデイトのスキャンダルや、バブル的なWeb2.0のばか騒ぎなどで、人の強欲さが目につきます。普通の庶民感覚を失うぐらいに、ばかげたお金をそういった人に払うのは、やめて欲しい、と思わず、怒鳴りたくなります。 昔から、「食い逃げ客」というのは、飲食業界に存在していますが、私の属するコンサルティング業界にも、この手のお客さんが現れます。
飲食業界における食い逃げは「無銭飲食」で、基本的に食べた分だけのお金がなくて、払えない人を指しますが、コンサルティング業界の「食い逃げ客」は、「お金はあるけれども、コンサルテーションの価値を理解せず、目に見えないナレッジに、金銭を払う意志のない潜在クライアント」を意味します。 時間チャージの鬼ともいえる「弁護士」は、潜在顧客に対して、最初のプロフェッショナルな相談を、イニシャルコンサルテーションとして、フリーで行います。この場合は、時間を限っており、顧客の抱える問題の核心に触れる回答は、もちろん提供しませんが、少なくとも自分がプロとして深度のあるナレッジを持つことを相手に伝えるべく、ある程度のアドバイスは与えます。 友人の弁護士によると、潜在顧客の中でも、このフリーのイニシャルコンサルテーションを大いに利用して、いくつもの弁護士事務所を、たずねまわって、いろんな角度から弁護士のフリー・アドバスを収集して、結果、どの弁護士とも有償の契約を結ばない人や企業もいると聞いています。確かに大手の弁護士事務所の時間フィーは高く、私も弁護士と話すときには、なるべく簡潔に要点だけを伝えようとして、いつのまにか早口になっていまい、砂時計の砂が落ちていく時間感覚の恐怖を味わいます。JaMの担当の弁護士は、誠実で話し好きで丁寧な好人物ですが、私たちのこの時間チャージへの恐れを知っているので、この話はチャージしないから大丈夫と先に断って、時候の挨拶やら近況アップデイトしてくれます(笑)。 コンサルティングワークも基本的には、弁護士と同様に時間チャージで成り立っています。JaMの場合は、クライアントが日本企業の場合が多く、この時間チャージシステムがなじみにくいのが現状です。特に日本の文化が「時間をかけて、じっくりと」という価値観を持っており、米国のビジネスパーソンがビジネスシーンで最も嫌う「Waste my time(自分の時間を無駄に使った)」という正反対の価値観とのハザマで、JaM自身が使う時間は、半端な時間ではありません。そして、残念なことに、その莫大な時間をチャージできないことが多く、思わず「弁護士だったら」と口走ることもしばしばあります。 ただ、これもうちのニッチなビジネスのポジショニングゆえなので、ある程度あきらめていますが、最近はイニシャルコンサルテーションをとっくに超過して、ほとんど無料でJaMのナレッジや情報を収集して、最後は突然連絡もないまま「食い逃げ状態」で、いなくなる企業も出てきています。メールやファイルなどの書面にしなくても、対面や電話で話したナレッジや情報は、日頃から多大な時間をかけて収集分析している、JaMの商品です。そうした目に見えない「intangible asset」で、ビジネスをしているのが、うちの生業です。その無形の商品を無償で得て、突然音信普通になる、こうした「食い逃げ客」に何度も会うと、Energizerとして有名な私も、Energy Vampireにあったように、エネルギーを吸い取られてしまいます。 日本出張の際にも、情報交換しましょうと言われて、企業とミーティングする機会が多くありますが、ほとんどの場合は、私の「インスタント米国最新マーケティング情報セミナー状態」で、あまり交換は行われません。もちろん将来のビジネス獲得のための投資として、割り切ってやっていますが、これも何度も続くと、だんだんヘタってきます。 情報やナレッジの重要性は、昨年亡くなった偉大なる社会学者のドラッカー教授が強く指摘しています。製造業的なメンタリティーから脱して、「intangible asset」、すなわち、人間そのものを、「Asset(資産)」として捉えて、ビジネスをする、このAttitude(姿勢や態度)が大切だと思います。 CGM Big Bangの時代なんだから、「食い逃げ」をいろんなところでしたら、あっという間にその企業のBad Mouth(悪口のWOM)が広がるのは必然です。 「ツケはきちんと払いましょう」 エキサイトでブログを始めたのが、一年半前ですが、今日から、新たにTypePadによるブログを開始しました。何でも新しいことにチャンレンジするのが、私の性格です。これもやってみます。
今日の私の気分は、「言行一致」しよう。 昨日の新聞に、ゴア元副大統領の「言行不一致」に関する記事が出ていました。 うちの夫が盛んに「Aha! Aha!」とつぶやいているのを小耳に挟んで、すぐに記事を読みましたが、ポイントは「ゴアさん、あんた、言っていることとやっていることが違うんじゃない!」という批判です。地球温暖化の警告を発する映画「An Inconvenient Truth」で、エコ・エヴァンジェリストとして、環境破壊を阻止しようと呼びかける本人が、ナッシュビルの20部屋もある1万sqtの豪邸ではエコフレンドリーとは程遠いエネルギーの無駄遣いをして、環境保護区に近いエリアの採掘するオイル会社の株式を持ち、公害の原因を作りかねない鉱山会社からロイヤリティをもらったりと、ずいぶん「埃」が出てきています(この記事への反論はゴアのサイトですでに掲載されています)。 人間は聖人君子には程遠いものですので、誰でも「叩けば、多少の埃が出る」のは当たり前です。でも、世界中の注目を集める中で、エコ・エヴァンジェリストとして、パブリック・デビューを果たす以上、自らの「埃」は、十分はたいて、きれいにして、出てくるべきです。 このCGM Big Bangの時代です。人は「面白いストーリー」を見つけると、すぐにバイラル化して、瞬時に広げていくツールを持っています。まさに、今、私はそれを実行しており、ブログ・マーケティングのWOM (Word of Mouth)で、大いに成功した映画のように、ゴアにとって、彼の実際の私生活は、どうやら「An Inconvenient Truth」なようです。 そう言っているだけでなく、やんなきゃだめです。 「Just Do It!」です。 今日は米国の独立記念日で、さらに母の日本帰国の日でした。初めて米国を訪問した母をサンフランシスコ空港に送ってきて、今は、自宅から星条旗がはためく街並みを眺めています。 6/21に母と一緒に日本から米国に戻り、母の2週間の初の米国体験は無事に終わりました。空港のセキュリティで、涙をこらえながら、ゲートに向かう母の後姿を見て、思わず私も目頭が熱くなり、やせて小さくなった母をいつまでも見送っていました。 英語が話せない母が1人で飛行機で日本に帰国することを考えると、本当に心配で、今も太平洋を飛んでいる母のことが気になっています。 母の2週間の米国体験は、驚きの連続だったようです。彼女が発する言葉は、11年前にアメリカに移住してきた頃の私と同様のもので、マスメディアを通じて知っていたアメリカを、自分の目で見て実感した母は、日米の違いに改めて新鮮な感動を実感いたようです。 母の行動は精力的です。 ・まずは、お待ちかねの「メジャーリーグデビュー」: 6/24(土)、メジャーリーグの大ファンである母はサンフランシスコ・ジャイアンツvs オークランド・アスレチックスの ゲーム観戦です。デイゲームで、自宅からフェリーに乗って、SFダウンタウンに到着したあと、夫と3人でボールパークまで歩いていきました。母は、足がだ いぶ弱っていますが、私の腕につかまりながら、「メジャーリーグデビュー」という呪文を唱えながら、がんばって歩き、無事にChina Basinまで到着しました。試合は、Barry Bondsの719号ホームラン(彼はその日はオフのはずでしたが、本人の希望で出場したというおまけつき)、ジャイアンツの逆転勝ちという好ゲーム。母は、「I was there」というベリーがホームランを打ったゲームにいたという記念のピンをもらって、球史の証人になれたと大喜びでした。 ・サンフランシスコベイでの「セーリングデビュー」: 6/29(木)、夫と3人で友人のセールボート、仏製のJeanneau(ジュノー)の51フィートの「Polonaise Ⅱ」で、ベイセーリングに挑戦。天気もよく穏やかな気候で、ビギナーの母にとってはちょうど良いセーリングとなり、ジャイアンツの球場のあるSouth Beach Harborに向かって、船を走らせました。ハーバーには、日本の国旗がはためくセールボートEmu Ⅱが停泊しており、声をかけると、大阪から2ヶ月かかってサンフランシスコに到着した隻腕のヨットマン、米子昭男さんが出てきました。彼は片腕の世界無寄港のセーリングにチャンレンジしたセーラーで、植村直己冒険賞を受賞している方です。久しぶりに日本語を話せたのが、嬉しかったようで、うちの船の中で、今までのセーリングの話を大いに語られていました。 ・ルーズベルト大統領専用ヨットPotomacの船内視察: 7/2(日)、夫もクルーとして乗り込むことのある、ルーズベルト大統領専用ヨット「ポトマック号」の船内見学。私と一緒に、英のチャーチル首相とルーズ ベルト大統領が座ったファンテールというソファで記念撮影。500万ドルかけて修復されたポトマックは、大統領の死後、一度はエルビス・プレスリーもオー ナーとなったこともある歴史的な船です。ボランティアのWandaの説明やビデオを見ながら、船内をくまなく見学して、大統領夫人であるエレノア・ルーズ ベルトの業績もしっかり拝聴して、歴史を大いに学びました。 ・アメリカの一般市民との「コミュニケーションデビュー」: 2週間の米国滞在中、毎朝必ず自宅の近くを探索していた母は、道すがらほとんどのアメリカ人が必ず挨拶をしてくることに、すっかり感心していました。彼女 は英語が話せないことを気にもせずに「ハーイ」を連発して、先方がそれ以上を英語で語りかけると、すぐに日本語に切り替えて、身振り手振りを交えたコミュ ニケーションで、米国の一般市民との社交を単独で行っていました。どうやら、私の度胸のよさは彼女譲りのようです。 もちろん、これ以外にゴールデンゲイトブリッジやサウサリートなどの観光名所も押さえて、シリコンバレーや太平洋岸のハーフムーンベイまで、足を伸ばして おり、さらにガーデニングが大好きな彼女は、我が家のバックヤードにトマトや日本きゅうりまで植えて、大いに満足したようです。 滞在中、彼女の言葉で記憶に残ったのは、 「アメリカはいろんな人種がいて、まるで五目御飯のようだ。白米だけのご飯より味がある」 「誰でも、目があえば、にっこり笑って挨拶をする。日本だったら、まず知らない人と目をあわせないし、ひどい時には、年寄りは突き飛ばされてしまう。」 「台所のカウンターが高くていいね、これなら、料理をする時にかがむ必要がない。つくりがすべて合理的だ」 「なんで、日本はこんな大きな国と、戦争をしたんだろうね。まったくばかげている。」 「国旗を誇りを持って掲げられるアメリカはいいね」 彼女のつぶやきには、確かに真実の感動や感慨があり、私も多くのことを考えさせられました。 私にとって最も大きな収穫は、「母と11年ぶりに過ごした濃密な母と娘の時間」です。自分が米国で元気で生活していけるのも、すべて両親が私に健康で頑丈 な精神と肉体を与えてくれたからです。この2週間は、17年前に父が亡くなった以来、1人で生きる母への親孝行のチャンスでもあり、母へは感謝の気持ちで 一杯です。 母の誕生日は日本の建国記念日の2/11で、私にとって、この日は母と僕の誕生日で、二重の意味を持つ日です。今朝、夫は仕事に出かける前に、母に「今日はアメリカの誕生日」と言って独立記念日のことを話していました。 アメリカ人は独立記念日をみんな楽しみにしています。大人も子供も、みんなイスを道路に持ち込み、独立記念日のパレードを見守り、ブルー、レッド、ホワイ トの3色が街中にあふれています。アメリカの誕生日は、さわやかな風にふかれて、大小の星条旗がはためく、気持ちのいい日です。 昨日は、Enron(エンロン)のトップ2人、Kenneth Lay(ケネス・レイ)とJeffrey Skilling(ジェフリー・スキリング)の有罪判決が決定して、1990年代末から200年初めにかけて起こった米国の大企業の株価操作のための不正 会計操作、インサイダー取引など、一連のCEOたちのホワイトカラークライムの一つのけじめがついたことで、みんながほっとした日でした。
2001年当時600億ドル以上の市場価値があったエンロンは、このGreedy(強欲)な経営者たちのミスリードによって、株価の下落と倒産を招き、社 員はおよそ21億ドルの年金を一瞬のうちに失い、5600人が解雇され、多くの株主に多大な損害を与えました。米国ビジネス史上の最悪のスキャンダルの一 つとして、「エンロン崩壊」という言葉で、話題になり、私も当時はこの事件にかなり関心を持って、以下のようなコラムを書いて、事件を見守っていました。 番犬と道化師の役割 (The Roles of Watchdogs and Fools) *ベイエリア最新事情2001年12月24日* カモフラージュ・メイクアップ-エンロンの場合 (The Camouflage Makeup-Enron) *ベイエリア最新事情2002年1月25日* 失われた企業モラル (The Loss of Corporate Ethics) *ベイエリア最新事情2002年6月22日* あれから5年が過ぎて、やっと、創立者・会長・CEOのレイは、最長165年間、CEOのスキリングは最長185年の受刑を宣告されました。すでに10年 間の受刑が確定しているCFOのAndrew Fastow(アンドリュー・ファストウ)は7月から塀の中に入り、レイとスキリングはいみじくも「9月11日」から始まります。この4ヶ月かかった2人 の裁判で、検察側の切り札が元CFOで一連のエンロンの不正会計操作の設計者だったファストウです。彼は、彼の妻をエンロン事件の関係者として1年間の受 刑生活をさせており、トップ2人とすべて協議の上で行ったと証言して、2人を一気に不利な状況に落としこんでいます。 いろんな報道や陪審員・関係者の発言で、頻繁に出てきたのが、「Liar(嘘つき)」という言葉です。米国では、間違いや悪事をしても、それを正直に認め て、今後二度とそれを繰り返さないと誓う姿勢を評価します。反対に、「正直に話さない=嘘をつく」ことを嫌い、レイとスキリングが、「エンロンが倒産する ほどひどい財務状態であったことは知らなかった」と言ったことに対して、「社員と一般投資家と株主に嘘をついた」として、鋭く非難しています。 このエンロン崩壊に限らず、多くの大企業のCEOたちが行ったホワイトカラークライムは、米国ビジネスの「Greedy(強欲さ)」の象徴として、多くの非難を招き、それを受けて検察側も必死の努力により、徐々に塀の中にCEOたちを送り込んでいます。 Bernard Ebbers, 64 | GUILTY Former chairman & CEO, WorldCom Dennis Kozlowski, 59 | GUILTY Former CEO, Tyco International Frank Quattrone, 50 | CONVICTION OVERTURNED Investment banker, Credit Suisse First Boston John Rigas, 80 | GUILTY Former chairman and CEO, Adelphia Richard Scrushy, 53 | NOT GUILTY Former chairman and CEO, HealthSouth Martha Stewart, 64 | GUILTY Founder Martha Stewart Living Omnimedia また、現在SECによって調査進行中のCEOたちへの巨額な報酬の一部である「ストックオプションのバックデイト」問題には、SF Chronicleによれば、以下のような企業の名前があがっており、何らかの問題で巻き込まれる可能性があるとしています。 Altera, San Jose -- internal inquiry Cnet Networks, San Francisco -- internal inquiry Juniper Networks, Sunnyvale -- U.S. attorney investigation KLA-Tencor, San Jose -- SEC investigation McAfee, Santa Clara -- internal inquiry Mercury Interactive, Mountain View -- SEC investigation Openwave Systems, Redwood City -- SEC investigation Power Integrations, San Jose -- internal inquiry Trident Microsystems, Sunnyvale -- internal inquiry Zoran, Sunnyvale -- internal inquiry Source: Company reports, Chronicle research この「ストックオプションのバックデイト」も、「日付をさかのぼる嘘」によって、ストックオプションを実際に売る時点との差額で、莫大な利益を経営者たち にもたらします。これは企業の会計において損益の数字を変えることを意味し、さらに、それは投資家へ嘘、あるいは納税の不正申告へとつながる可能性を秘め ています。 「嘘つきは泥棒の始まり」、これはどうやら真実のようです。 クライアントから、「うちのせいでブログを書く時間がないのですね?」 と言われた2週間が何とか終わりました。 ビジネスパートナーの1週間の休暇と5つのプロジェクトのキックオフが同時に開始され、「宣伝会議」の私のコラムの締め切りも重なり、ほとんど息つく暇も なく、珍しく「ゼイゼイと肩で息をする」、という感じで2週間、猛烈に働いていました。その間、デスクトップは動かなくなるというトラブルも発生し、アタ マの中は、英語から日本語へ、日本語から英語という語学の変換で、ものすごい勢いで動いていました。パートナーが戻ってきて、日本語から英語への変換部分 を、彼女にパスして、今は少しホッとしています。 昨日は、サンフランシスコベイエリアに、ブータンのMinister for Home and Cultural AffairsのLyonpo Jigmil Thinley氏が、「GNP: Gross National Product(国民総生産)」ではなく、「GNH: Gross National Happiness(国民総幸福)」について講演するために、訪れていました。 UC BerkeleyのInternational Houseで行われたパネルディスカッションの参加者は、以下の顔ぶれで、心理学や頭脳研究の科学者が参加しています。 Robert Reich, labor secretary under President Bill Clinton UCSF emeritus professor of psychology Paul Ekman UC Davis mind and brain scientist Clifford Saron Alan Wallace, president of the Santa Barbara Institute for Consciousness Studies ブータンは、国として「いかに国民が幸せになるか?」を継続して追求しており、物質主義国家へのオータナティブな考え方に基づき、地球の住人として、国土 の26%を野生保護区にして、72%は森林で覆うなど、国家を挙げて努力を続けています。また、自然保護だけでなく、国固有の文化の継続が国民の幸せにつ ながると考えて、1日ミニマム200ドルで観光のためのパッケージを設けて、観光客の数を制限しています(昨年1万3000人)。ブータンでは、物質志向 の社会が、犯罪、精神病、アルコール、家族の崩壊など、さまざまな問題を抱える率が高く、自己中心で利益志向な社会の多くの問題点を指摘しています。 彼の発言の中で耳に残った言葉は、「目指すところは、人間としてのハーモニー」という表現でした。私が子供のころ、日本でよく聴いた言葉です。聖徳太子の 17条の憲法の中の第1条「和をもって尊しとする」という言葉にもでてくるように、日本をさす「和」という言葉には、「ハーモニー」と同じ意味がありま す。 20世紀、21世紀とGNP主導が世界の潮流ですが、国民の幸福のために、国としてGNPではなくGNHだと言い切り、また国民がそれを支持するところ が、ブータンのすごさだと思います。もちろん、私も含めて、これだけ物質主義の恩恵を受けている人間が、そう簡単にブータンの人たちのようなライフスタイ ルで、それを実際に実行できるかというと、疑問を感じますが、なぜか、ブータンの人たちは、アジアの中で最も日本人と顔立ちと似ていると言われて、また民 族衣装も着物との関連性を感じます。 そんなブータンと昨日のライブドアの堀江氏の逮捕の報道を見比べて、2国間の「国民総幸福度」は大きく違うと、改めて実感しました。ブータンは、未来へ進 む道が見えているけど、日本の未来へ通じる道は、どこにあるのか、さっぱりわからない、大きな灰色の雲が日本列島を覆って日本の未来への出口を隠してい る、そんな絵がなんとなく、脳裏に浮かびました。 PS: しかし、日本は、相変わらず「出る杭」を打つ時だけは、すばやい。 |
大柴ひさみ日米両国でビジネス・マーケティング活動を、マーケターとして、消費者として実践してきた大柴ひさみが語る「リアルな米国ビジネス&マーケティングのInsight」 Categories
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